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「農家とともに」プロジェクトvol.6は、静岡県袋井市にある農業生産法人有限会社グローの石原さんのお話のつづきです!

水と土と

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次に案内してもらったのは、水菜です。ただ、最初見せて頂いた水菜とは違い、水耕栽培ではなく、砂で育てている水菜でした!この畑の砂は、海岸の砂で、もとからここにあった物なのなんだそうです。

ーーーーーー砂でやる利点ってなんですか?
「砂は、土でやられている方と比べて、3日から4日早く収穫出来ます。また、砂は熱を持つので、気温が温かいと砂もあったかくなって、成育が早くなるんですね。
あともう一点、砂の場合って、水はけがいいので、水をかけては、はけて、また水をかけるって繰り返すので、そこが水耕栽培に似てくるので、食味が似るんですね。」

砂自体は栄養を含まない無機物ですので、砂を使用した土耕栽培は水耕栽培と似た形になるのでしょうね。
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ーーーーーー水耕栽培と、砂・土耕栽培で育てる違いと利点はなんですか?
「大きな違いは収穫する時の重量ですかね、育ち方も違いますし。
それと、水耕栽培は女性の方でも作業が出来る。種を蒔くとか、植えるとか。大きなトラクターなどにも乗らないので。
育てる方で言うと、水耕栽培は夏は冷やさないと大きくならないですが、土(砂)は大きくなるんですね。地面の温度って、地下水が冷たいように地下は温度が低いんですよね。だから、夏場は土(砂)の方が育つんですね。1℃違うだけで、育ちは変わります。だから、夏、皆さんに届ける為に、土(砂)と水の両方でやってるんですね。」

夏場の温室は、寒いくらいに冷えるそうです。砂も冷えて、冬野菜の育つ環境が整うのでしょう。石原さんは、年中野菜を届ける為に、水耕栽培だけではなく、砂を使用した土耕栽培も組み合わせて野菜を育てているのですね。

流行と飽き

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水菜を見ていると、隣の畑で雨が降っていることに気づきました。

ーーーーーー温室で雨が降ってますね。
「そうですね。これは今、水をかけているんですけど、植物って、上から水をかけると、ストレスを感じるんですね。芽が出たくらいのこの状態以降は、上からもう水をかけないで、下にある管をつかって地面に向かって水をかけるんですね。葉っぱにはあたらないように、根っこから水をくむようにして育てます。」

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ーーーーーーいままで農家として苦労したことってなんですか?
「野菜って、大体5年くらいすると、消費者は飽きるんですね。
飽きるので、売れてても、だんだん採算コスト採れないとかって言って、違う作物を入れなきゃいけない。僕が働き始めたばっかりの時は、まだ1種類だけだったんですけど、ちょうど”消費者の飽き”の狭間にたって、次に何を作ればいいのかって言うのが全然わからなくてね。
この仕事って、仕事がなくなるってことがないように思えるじゃないですか。でもそのときパタって仕事がなくなりました。そこに本来植えてあるはずの野菜が全部なくなってしまって…。

何を求めているのか、どういったものが求められているのか探らなければいけないって勉強して分かりました。僕らもやっぱ、育ててるだけじゃなくて、買ってくれる方と食べてくれる方のことを考えて、僕らがどういったものを育てて届けてあげられるか、伝えてあげられるかということを考えて、製造していかなければいけないですね。じゃないと、また同じことになっちゃうのかなって思います。」

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「なので見たことない野菜とか、さっき言ってた機能性野菜とかじゃないですけど、どういった機能があるのか、どういった時に食べるのかっていうのは重要ですね。
それこそ今で言うとパクチーとかクレソンとか豆苗とか。僕らは10年以上前から栽培していました。でも、その時は一般の方というのは全然、認知されていないので、パクチーは「何このにおいの強いの?」って不評でしたね。ベビーリーフなんかも最初は「混ぜるな」っておこられましたからね。だから最初は全然売れませんでした。

でもチャレンジをやめたら終わりですからね。」

まだまだ面白い野菜っていっぱいあるので、逆に僕らが知らない野菜って言うのを見てみたい。という石原さん。
最初は空芯菜だけを育てていたそうです。でも空芯菜ブームの終了とともに売れなくなり、考えた末に、買う人が”求めるもの”を作ることが大切だと思い、少しずつ”求められるだろう”新しい野菜を増やして行ったそうです。
ベビーリーフや機能性野菜など様々な野菜を”流行”以前に導入し、新しい野菜を伝えるともに、求められたら答えられるように栽培をする。「消費者の飽き」という経験が、消費者のことを考えた野菜づくりにつながっているんですね。

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ーーーーーー最後に一言お願いします!

「僕らが野菜づくりをする時は、一人一人が、栽培をする時も商品をパックする時も、食べてくれる人が「おいしい」て言ってくれるものを作りましょうってことを一番に想って野菜づくりをしています。」

石原さん、有限会社グローの方々、ご協力ありがとうございました!