「農家とともに」プロジェクトvol.4は、静岡県磐田市にある市川さんのトウモロコシ畑にお伺いました!

トウモロコシを育てる

トウモロコシといって思い浮かべるものは何でしょうか?
焼きトウモロコシや、サラダやスープなどの料理はもちろん、コーンフレークやポップコーンなどスナックを思い浮かべた方もいるかもしれません。近年様々な種類のトウモロコシが生産され、その用途も多岐に渡ります。その中でも私達が普段サラダやスープなどの料理に使用している”トウモロコシ”は”スイートコーン”と呼ばれる甘い品種です。

nouka-vol402

今回お伺いした静岡県磐田市でトウモロコシを生産している市川さんの畑では、ちょうど”幸せコーン”を栽培しておりました。既に大ぶりのトウモロコシがそこらかしこになっており、このトウモロコシはいつ収穫するのか聞いてみました!

ーーーーーーこの”幸せコーン”はいつ植えて、いつ収穫するのでしょうか?
「この畑は5月10日に植えて、収穫は7月20日頃の予定だから、今収穫するにはまだ早いですね。後一週間くらいおかないと。この畑は5反(約4958㎡)でだいたい1,7500本収穫出来るんだけど、収穫の際は、7人〜14人くらいで収穫するんだけど、1人1時間で400本くらいを目標に収穫するようにしているんだよね。」

一人一時間に400本!手作業でその量をとるとなると、かなり大変な作業ですね。
nouka-vol410

市川さんの畑では2月から8月頃までトウモロコシ栽培をしているそうです。
「他のトウモロコシは2月頃に種をまくんだけど、土や種が凍ってしまうから、トンネルっていう小さなビニールハウスみたいなものをかぶせて種が凍らないようにします。4月頃になると70〜80cmくらいに成長するからぎりぎりまでタイミングを待ってトンネルを外す。4月はまだ寒い日があったりして、早々にトンネルを外すと駄目になってしまうからね。5月頃には草刈りをして、収穫します。そのあと別のトウモロコシを植えます。」

nouka-vol406
皆さんはトウモロコシのふさふさした毛のような部分、何かご存知でしょうか?

「トウモロコシについているふさふさした部分って、トウモロコシの雌花なんですけど、トウモロコシの株のてっぺんにある穂が雄花で、風によってこのふさふさに花粉が落ちて受粉すると実が出来る。だけど草がまわりに生えるとこの受粉がうまく行かなくて、実がなかったり、実のかけたトウモロコシになってしまう。」

トウモロコシのふさふさした部分一本一本が雌花で、それぞれに受粉されないと歯抜けのトウモロコシになってしまうそうです。食べる時に邪魔な部分として捨ててしまう人もいるかもしれませんが、実はこの部分、とても栄養価が高いそうです。最近ではこの雌花をお茶にした、”コーン茶”と言うものが注目を集めているみたいですね。機会があったら雌花を使用したレシピを考えてみるのもいいかもしれません。

nouka-vol411
ーーー植えたうちの何割ぐらいが育つのでしょうか?あと育てる上で大切なことはありますか?
「たねは8割育って、苗から収穫までは9割育つ。大切なのは防除だけど、うちは減農薬といってシーズンに2回。農家さんによっては一週間おきに農薬を散布している所もあるみたいだけど、うちは虫が入るタイミングをはかって、出来るだけ少ない散布を目指している。」

甘さと雨と。

nouka-vol407
ーーー雨とか天候ってどうでしょうか?
「やっぱ雨によってかなり左右されますね。干ばつになるとしなびちゃうんですよね。雨が必要なんですけど、雨が多すぎると糖度が下がってしますんですよね。桃太郎トマトってあるじゃないですか。水分調整をして、水分を減らして減らしてフルーツトマトになるんですよ。水分を出来るだけ減らしていくと玉のサイズは小さくなるけど、糖度がすごい上がる。だから雨がすごい多い年っていうのはフルーツもやさいも甘みが少なくなる。でも、雨が少なすぎてもサイズが大きくならない。微妙なところですね。でもそれ自体は完全に天候次第ですからね。」
採れたてを試食させていただきました。甘い!茹でたり焼いたりしたとうもろこしとは風味が少し異なり、リンゴのようなフルーティーな甘さに驚きました。

nouka-vol409
ーーーでは、あまりにも降らない時は水をあげたりするんですか?
「うちはねほとんど、3割ぐらいが畑で、あとは田んぼでつくっているんですよ。たんぼって水持ちがいいんですよね。田んぼのやつはそんなにしおれることがないんですけど、畑のやつはずっと雨が降らないとやっぱ厳しいね。そこはもう願うだけ(笑)
一昨年はしおれちゃってね、雄花が全部下に向いちゃってね。一ヶ月ぐらい雨が降らないとしおれちゃってね。一ヶ月雨が降らなかったらトウモロコシの市場相場が相当上がるよ。今年は良かった、定期的に一週間くらい雨が降って。」

農業のマニュアル化

nouka-vol408
ーーー今年の出来はどうでしょうか?
「今年の出来はいいほう。でも全国区的に虫が多いっていうのは聞いている。
まぁ、農業っていうのは毎年毎年がちがうのでね。同じやり方をしていたらだめになる年も出てきちゃうので。やっぱ農業っていうのは本当に作業のマニュア化が出来ない。
毎年天候も違うし、育ちかたも育つペースも違う。野菜ってすべて積算温度…温度の積み重ねなんですよ。なんで2月に種まいたものが4ヶ月後の6月1日収穫で、5月に種まいたものが7月の15日程度、2ヶ月半かかったわけじゃないですか。結局は全体温度、かかっている温度が温かければ早く育つ。
レタスって例えやすいんですけど、冬のレタスって120日かかるんですよ。夏の今、長野県川上のレタスってだいたい45日なですよ。三分の一くらい。冬の温度って10℃とか5℃とかっていうところが、いまは20℃とかで、それだけで違うんですよね。」

nouka-vol404
「だから暖冬の年、普段毎日の平均気温が20°なのに大して、23°とかになるとその+3°の積み重ねで、収穫が一週間早くなりましたとか。そうすると一週間早くなったけど消毒のタイミングを一緒にしていると、虫が入っちゃたり、逆に消毒後、一週間収穫しちゃいけませんよっていう決まりがあるもんで、そうするとそのタイミングで消毒しても一週間収穫出来ずにだめになっちゃったっていうことがあるんですよね。」

nouka-vol405
「結局はその時の成長具合と感覚なんですよね。自分に身に付いた感覚が一番当てになるんですよね。今までのデータとか数値とか作業日報とか予定とかっていいうのは、スタートの計画を立てる時には一番大事なところですね。やっぱ去年こういう状態だったもんで今年どうしようか、っていうことは大事だけれど、その年を動かしていくっていうのは現場にいる見る人の感覚。施設では 温度管理とか施設管理、水管理とかすべてマニュアル化出来るんだろうけど、路地はまったくマニュアルか出来ない。台風一発きただけでもやる仕事は全然変わってしまうもんで。」

nouka-vol403

ーーーでは、最後に一言お願いします!

「また農業を盛り上げていくためにも、よろしくお願いします!!」

市川さん、オールウェイズ株式会社の方々、ご協力ありがとうございました!